医療法人の名称の選び方のポイントと、その所有財産について示します。

1 医療法人の名称(列挙)

(1)「医療法人社団」「医療法人財団」は必ず表記すること
(2)誇大な名称は避けること
(例示)○○クラブ、○○研究会、○○グループ、○○センター、第一○○、優良○○、セントラル
(3)国名、都道府県名、区名及び市町村名を用いないこと
(4)既存の医療法人(都内、他県の隣接地域にあるものを含む。)の名称と、同一または紛らわしい表記は避けること。
(5)取引会社等関係がある営利法人等の名称は用いないこと
(6)診療科名を単独で法人名に使用することはできない。ただし、固有名詞(「クリニック」等)と組み合わせて使用することは可能
(7)広告可能な診療科名として認められていないものを名称の中に含めることはできない
(8)当て字等で通常の漢字と異なる読み方になるもの(アルファベット表記で読めないものを含む。)は避けること

2 医療法人の財産

(1)拠出(寄附)財産
 ア 財産の種類
  ① 基本財産・・・・・・・・・・・・ 不動産、運営基金等の重要な資産
  ② 通常財産・・・・・・・・・・・・ 基本財産以外の資産

 イ 財産の額
  ① 土地、建物・・・・・・・・・・ 不動産鑑定評価書又は固定資産評価証明書の額
  ② 建物附属設備・・・・・・・・ 減価償却した簿価
  ③ 現預金・・・・・・・・・・・・・・ 残高証明書にある金額の範囲内
 医業未収金については直近2ヶ月分の金額の範囲内
  ④ 医療用器械備品・・・・・・ 減価償却した簿価
  ⑤ 什器・備品・・・・・・・・・・ 減価償却した簿価
  ⑥ 電話加入権・・・・・・・・・・ 時価
  ⑦ 保証金等・・・・・・・・・・・・ 契約書の金額
 ※ 契約書に償却に関する条項がある場合は、償却後の金額(退去時に返還される金額)
 ※ 減価償却については、「基準日」があります。

 ウ 医療法人は、開設する診療所等の業務を行うために必要な施設、設備または資産を有している必要があり、それに見合った拠出(寄附)が必要 です。
 エ 拠出(寄附)財産は、拠出(寄附)者に所有権があり、医療法人に拠出するのが適切なものとします。個人的な医師会(歯科医師会)の入会金等は拠出できません。消耗品や一括償却資産についても同様に拠出できません。

(2)負債の引継ぎ
ア 拠出(寄附)財産の取得時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。ただし、法人化前の運転資金の取得に要した費用に係る負債は引き継ぐことができません。
イ 拠出と債務引継ぎは同時に行うことが必要です。設立時に拠出した財産取得に係る負債を、設立後に引き継ぐことはできません。

(3)運転資金
 ア 原則として初年度の年間支出予算の2か月分に相当する額とします。
 イ 現預金等の換金が容易なものとします。
 ウ 設立後の金融機関等からの借入金は、運転資金として算入できません。

(4)各種契約
 ア 設立認可に当たっては、拠出(寄附)財産に加え、診療所等を法人開設するに当たって必要な契約(建物賃貸借契約(覚書を含む。)、物品売買契約等)が締結されている必要があります。
 イ 基本拠出契約についても、締結されている必要があります。

基金については以下の項目で示します。

 第1章
1-6 基金
 第6章
6-1 基金の特徴と関係書類


6-2 基金の法人のメリット・デメリット


6-3 基金募集のための募集通知書


6-4 基金引受申込書


6-5 基金割当て決定通知書


6-6 基金拠出契約書


6-7 基金の定款記載

Q&Aの最終更新日 :2012-09-04