基金について、医療法人側からみたメリット・デメリットを列挙して示します。

(メリット)
(1)基金拠出者に限定がない。
   基金拠出者は、個人、法人を問わないため基金拠出者を広く募集することができます。また、基金拠出者には非同族要件が付されていないため理事長および理事長親族のみの基金拠出を行うことも可能なこと。
(2)基金の使途に制限がない。
   基金の使途に制限がないため、資産の取得あるいは運転資金の調達として、基金を募集することが可能なこと。
(3)基金の拠出額に制限がない。
   基金の使途には制限が付されていないため、必要資金のすべてを基金で調達することが理論上可能であり、土地や建物等不動産、医療機器、インフラ整備、運転資金等医療法人が必要としている資金を基金で調達することが可能なこと。
(4)基金には利息をつける必要がない。
   医療法人は、拠出された基金がたとえ多額であっても利息を支払う必要がないため、医療法人の運営において、利息という経費が発生しません。もちろん、基金返還時においても利息を支払うことができないこと。
(5)基金の返還が無理なく行える。
   基金の返還については、医療法施行規則第30条の37において「基金の返還原資は、毎事業年度の貸借対照表上の純資産額が基金の総額等を超える場合におけるその超過額に限られる。」と規定されており、借入金のように毎月返済原資がなくても返済しなければならないものではないため医療法人の安定した運営に貢献できること。
(6)基金は、劣後債務ですが、純資産の部に計上できること。

(デメリット)
(1)第三者からの基金拠出はあまり期待できない。
   医療法人側のメリットが、基金拠出者のデメリットとなるため、次に掲げる主な理由により第三者からの基金拠出はあまり期待することはできないこと。
 ① 基金には利息を付することができず、基金返還時においても基金拠出時の拠出額で返還することとなっていますので、拠出者が基金を拠出したことによる経済的利益を期待することはできないこと。
 ② 現金以外の不動産等の基金拠出に関しては、時価で受け入れますので基金拠出者に課税される可能性があること。
 ③ 法人の解散時、破綻時には劣後償還となること。
(2)法人税が、課税される。
   法人税に関しては、公共性が担保される社会医療法人のように非課税となることがないこと。
(3)持分あり医療法人が基金拠出型医療法人を含む持分なし医療法人へ移行する際の、移行時税制が厳しいこと。




Q&Aの最終更新日 :2012-09-26