医療法人制度について、次の6つに分けて説明します。

1 医療法人制度の目的

医療法人制度の目的は、医療を提供する体制の確保を図り、国民の健康保持に寄与することにあります。その趣旨は、医療事業の経営主体を法人化することにより①資金の集積を容易にしつつ、②医療機関等の経営に永続性を付与し、私人による医療事業の経営困難を緩和することにあります。
その結果としては、①高額医療機器の導入が容易になる等医療の高度化を図ることができ、②地域医療の供給が安定する等の事項が考えられます。

2 知事の認可

 病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設(以下「診療所等」という。)を開設しようとする社団又は財団は、東京都知事の認可を得て、医療法人とすることができます。・・・・・・医療法(以下「法」という。)第39条認可にあたっては、(法第41条、医療法施行規則(以下「規則」という。)第30の34)開設する診療所等の業務を行うために必要な施設、設備又は資産を有していることが必要です。

3 医療法人の役割

 医療法人の役割は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすように努めることとされています。

4 医療法人の非営利性

 医療法人は、医療事業の経営を主たる目的としています。
 医療法人は、民法上の公益法人と区別されていますが、これは医療事業が公益事業のような積極的な公益性を要求すべき性格のものではないからです。
一方、法第54条で剰余金の配当が禁止され、営利法人たることを否定されています。この点で株式会社などの商法上の会社とも区別されています。

5 社団と財団

 医療法人には、医療法人社団と医療法人財団の2種類があり、その違いはおおむね次のとおりです。

(1)医療法人社団

 複数の人が集まって設立される医療法人であり、設立のため、預金、不動産、備品等を拠出するものです。(法改正(平成19年)により、平成19年4月1日以降は出資持分の定めのある医療法人を設立することはできなくなりました。)医療法人が解散したときは、法第44条第5項及び定款に定める方法により残余財産を処分します。

(2)医療法人財団

 個人または法人が無償で寄附する財産に基づいて設立される医療法人です。医療法人が解散したときは、法第44条第5項および寄附行為に定める方法により残余財産を処分します。

(3)定款と寄附行為

 医療法人社団は、「定款」で、医療法人財団は「寄附行為」で、それぞれ基本事項を定めます。

6 一人医師医療法人

 法改正(昭和60年)前の医療法人(病院または常勤の医師または歯科医師が3人以上勤務する診療所を開設する医療法人)に対し、改正後の医療法人のうち常勤の医師または歯科医師が1人又は2人勤務する診療所を開設する医療法人を、いわゆる「一人医師医療法人」といいます。しかし、法上は、設立、運営、権利および義務に関して何ら区別はありません。役員や社員が1人でいいということでもありません。

Q&Aの最終更新日 :2012-09-04