病院・診療所および介護老人保健施設を経営する医療法人の法令遵守と透明性を担保するため、事業報告通知で作成と開示が義務化されています。コンプライアンスに関し80%以上の違反等が指摘されており、課題を残しています。

 医療法人会計基準のない医療法人の透明性は、医療法第51条の2、第52条第2項により、事業報告書等の開示の備置、届け出、閲覧が定められています。

(そのポイント)

 ①事業報告書

 ・1(5)役員および評議員……この欄は、社会医療法人、特別医療法人および特定医療法人以外の医療法人は記載しなくてもよいこと

・2(4)当該会計年度内に社員総会または評議員会で議決または同意した事項……定款が社員総会の年2回開催としている場合、監事の監査報告書の記載内容に影響すること。その他、定款改正の臨時社員総会の開催など記載もれ等や虚偽記載がないこと

・診療所のみ開設法人以外の医療法人は(5)~(7)の記載((7)は任意)が求められているが、これらの中に(4)の社員総会の議決の記載がもれていないこと

 ②財産目録

 ・貸借対照表の項目残高と一致すること

・土地、建物のすべての「賃借」も可能であること

 ③貸借対照表

 ・医療法人の類型により様式が4種類あること

・様式3-1と4-1は、科目の削除・追加を認めていること

・様式3-1と4-1は、科目の削除は可能だが、項目のみの記載は認められないこと

・法人類型別に純資産の部の内容(科目)が異なること

 ④損益計算書

 ・様式4-1(病院)と4-2(診療所)が分かれていること

・4-1は、不要な科目の削除を認めていること

 ⑤監査報告書

 ・この報告書は「無限定適正」の例示文書であり、「限定事項」等がある場合、適宜に組み換えること

・事業報告書・定款に示された内部統制の適性と関わり合うことにより、監事も報告書作成に注意が必要なこと




 社会医療法人債発行の社会医療法人以外の医療法人の事業報告書等の「作成」から「事務所での閲覧」、「都道府県(知事)への届け出」それに「都道府県での閲覧」に至る経過は次の通りです。


事業報告書等の作成・閲覧・届出等表(3月末決算を想定)

書類等

作成

事務所での閲覧

都道府県への届け出

都道府県での閲覧

必要な書類等

事業報告書

財産目録

貸借対照表

損益計算書

事業報告書

財産目録

貸借対照表

損益計算書

監事の監査報告書

定款

事業報告書

財産目録

貸借対照表

損益計算書

監事の監査報告書

事業報告書

財産目録

貸借対照表

損益計算書

監事の監査報告書

定款

期限

毎会計年度終了後

2カ月以内

5月31日

同左の翌日から

(原則)6月1日から

毎会計年度終了後

3カ月以内

6月30日

同左の翌日から

(原則)7月1日から






Q&Aの最終更新日 :2012-09-26