第5 法令違反等 

 一般に法令を狭義に考える場合、「法律」(例えば医療法)を指すが、広義には「法律」、「政令」、「省令」(例えば、医療法施行規則)、「告示」および「通知」(例えば、医政局長通知、指導課長通知)を含んでおり、さらに、近時の医療法人の内部統制の強化により定款(寄附行為)まで含むものとされるようになっており、この報告書では、広義に、定款(寄附行為)まで含めて処理している。
 ただし、開示される情報が、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事監査報告書(一部に、非開示の県あり)に限定されたものであり、その中での法令違反のチェックをした。
 私どもが調査対象とした1,746医療法人の事業報告書等は、都道府県知事に提出されたものであり、提出されていない法人が、かなりの数で存在することがわかり、これこそ医療法第46条の4第3項第3号違反であるが、特定できないため、ここでは除外した。
 この項でのコンプライアンス:法令遵守のチェックは、公表された事業報告書等の記載内容から、限定された法令違反等のみとし、記載された事項は、原則として正しいものとした。

誤りのあった法人集計



(※)0点は、誤りなしであるが、比率を出すためここに示した。


 調査対象法人1,746法人のうち、法令違反等の指摘ができなかった(ここでは、誤りでなかった。)法人は340法人(19.5%)であり、残り1,406法人(80.5%)は、何等かの法令違反が認められた。病院法人の法令遵守率は10.1%、診療所法人は28.4%、老健法人では「0」であった。
 「誤り」のうち、1点から10点までに、910法人(52.1%)があり、過半数が微細な法令違反等とも考えられる(5点以上は、医療法違反の可能性大)。一方で、21点以上の医療法人が160法人(9.2%)もあり、これらの法人は、法令遵守以前の法令無視の状態にあると言わざるをえない。.


医療法人の事業報告書等の実態(2009.09.15) 第5法令違反より一部抜粋